会長挨拶

新年のご挨拶と抱負 「多様な課題には多様な総合力で」

皆様  新年あけましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナ感染拡大の中、様々なイベントや活動を実施いたしました。
シンポジウムでは「多様化とトイレ」を取り上げ、今まで気づかなかった新しい課題が明らかになりました。
グットトイレ選奨も初めて海外からの応募もあり対応に追われはしましたが、おかげさまでグットトイレ選奨の価値がさらにアップするきっかけになると予感させました。
セミナーも盛会で、トイレ協会の存在や価値を対外的にも示していただいています。
皆様に日本トイレ協会の活動を支えていただきました。本当にありがとうございました。

今年の会長の抱負として、
「多様な課題には多様な総合力で」とします。

日本トイレ協会の多様な潜在能力を活性化し、総合力を強め、発信していく力が今、求められているからです。
その理由としては下記のことが挙げられます。
日本トイレ協会は、「トイレ文化の創出」「トイレ環境の創造」「トイレに関する社会的課題の改善に寄与する」の3つの目標を掲げています。
今年で37年目に入ります。初期は4Kの改善や、快適トイレの普及が大きな課題でした。
現在は、快適なトイレが多くなり、法的にも整備が進み、普及しました。
しかし、一旦は大きな課題は解決したかに見えますが、まだまだ解決半ばの状況だと考えます。誰もが、いつまでも、どこでも、快適トイレが使え、心理的に少しホッとできる場には全てのトイレがなってはいないからです。

現在の課題は下記の6つあります。
1つは、快適な公共トイレについてハード面からと心理的や、発注者の仕組み等ソフトの面まで、拡張して確認する・・快適さとは 公共とは
2つに、持続性のある快適なトイレを、様々な利用者のニーズに添って実現させる・・設計+メンテナンス+運用+評価
3つは、年齢、性別、障害、国等でニーズの異なる多種多様な全ての人に、安全で使い易いトイレを提供すること。また、別のアプローチをしている海外の事例なども含めて深化させること・・多様性とトイレ
多様な人々がトイレを共有するための矛盾を解決する具体的方策も必要です。
4つは、災害時もいつでも快適トイレが利用できること・・簡易型トイレの開発や研究
5つは、どこでも、下水道の整備のない環境でも衛生的な排泄処理の環境整備の推進
6つは、国際的な動きに対する、日本トイレ協会の発信等    です。

問題が複層していること、快適さの継続の重要さの認識が強まっていること等、これらの解決には、もはや、今までのように単一の考え方や方法だけでは、難しいことが解ってきました。トイレの問題はそもそも複合的です。課題解決には総合力が必要です。

日本トイレ協会には、行政関係者、研究者、設計者、建築主、行政、教育者、メンテナンス従事者、機器や材料メーカー、備品整備者、仮設トイレ関係者等々、様々な人々の集まりです。
いいかえれば、日本トイレ協会の多種多様な人々の総合力が期待されていると考えます。
複合的なアプローチでなければ、利用者が本当に求めている快適さやそれを永続化させる仕組みや技術が得にくいからです。
具体的、抽象的に関わらず、いままでよりもっと、具体的、抽象的に関わらず、積極的にそれぞれの立場からの意見交換を活発にし問題を多面的に考え、社会に提案していけたらと考えます。

日本トイレ協会としてのこれらを具体策としては、
・今年は会員同士があるテーマを設定しながら意見を深める時間を増やしたいと考えます
。昨年までの会員+会長と語る座談会を別の形で実施します。
・運営委員会にある各部会の活動を活発にし、運営委員同士の更なる交流や研究の深化を図ります。
・これはアイディア段階ですが研究会同士の合同研究会も開催したいと考えます。
・対外的に発信していく様々な場合で、同じテーマを立場の異なる多様な人々とクロスながら議論を深め、発信していくことを心がければ、トイレ協会ならではの総合力を見せていくことになるのではないでしょうか。
今年もコロナウイルスと共存する前提で活動していく覚悟が必要なようです。
それでも、様子を見ながら、皆様とリアルに議論をたくさん積み重ねるよう機会をつくっていきたいと思います。今年も会員の皆様にとっても、協会としても充実した年にしていきたいと思いますので、ご協力やご鞭撻程よろしくお願いいたします。

一般社団法人日本トイレ協会会長
小林純子