第15回セミナー報告「男子だって汚物入れが欲しい!第2弾」

一般社団法人 日本トイレ協会、連続セミナー「うんと知りたいトイレの話」のお知らせ

第15回 「男子だって汚物入れが欲しい! 第2弾」

~ジェンダーフリーなサニタリーボックスを!~

高橋未樹子氏 :(一社)日本トイレ協会理事、コマニー(株)研究開発本部研究開発課

寅太郎氏 :(一社)日本トイレ協会運営委員、元レンタルのニッケン 取締役常務執行役員

山本浩司氏 :(一社)日本トイレ協会理事、中日本高速道路株式会社

 

(寅)2019年、テレビ司会者のOさんが膀胱の全摘手術をした後に、排尿をコントロールできなくて、汚れ物の処理に困っていたと話したことが発端。

2021年12月に、国連アジア太平洋経済社会委員会、ESCAPの秋山愛子さんがやっている「スナックあいこ」というオンラインコミュニティで、男性トイレにサニタリーボックスがないことが女性としては驚きであるという話になった。

そこで参加していた大谷貴子さん、この方は骨髄バンクの設立や、病院にWi-Fiを設置する運動をやってきた方で、埼玉新聞のコラムにこのことを書いてくれた。

日本トイレ協会では「スナックあいこ」での話を受けて2022年2月21日に「うんと知りたいトイレの話」でこれを取り上げた。

そのときは手探り状態のアンケート結果を発表したが、その後マスコミが広く扱うようになって、各地で設置が始まっている。

現在、埼玉県、神奈川県、愛知県、岐阜県、鳥取県、佐賀県、熊本県の7県で、県の施設の男性トイレにもサニタリーボックスを設置すると発表している。

市町村でレベルでは、私と朝日新聞社のbe編集部調べで、裏取りを朝日新聞にやってもらったが、今74市町。

埼玉県は、全国で一番多い市町村でサニタリーボックス設置の宣言をしている。

いくつかの民間企業でも設置を表明している。

 

汚れ物の処理で困っている人として、主に膀胱がんと前立腺がんについて調べてみた。

1年間に膀胱がんと診断された方の数は、男性が多くて、1万7500人。女性が5600人。計2万3000人だから、5年間で約10万人の方が膀胱がんで悩んでいる。

前立腺がんは男性のがんの第1位で、2018年では年間9万2000人が前立腺がんだと診断され、2020年には10万5000人に増えている。

それと大腸がんの方が年間15万人ぐらい。

三つのがんで、年間に、新たに26万人の方が診断されて、軽い方から、重い方までいろいろだろうが、排泄で困っている。

前立腺がんは血液検査で、早期発見できるようになって、患者数が一気に増えている。

サニタリーボックスの設置事例ではいろいろな大きさや形があるが、ゴミ箱と思われていろんなものを入れられないように、説明文として、「尿とりパッド等はこちらへお捨てください」と書いていたり、「病気等で尿とりパッドを使用している方のためにサニタリーボックスを設置しています。ペーパーに包んで捨てていただきますようご協力お願いします」というわかりやすい説明など、各所でいろんな工夫がされている。

 

(高橋)「外出時の尿漏れや便失禁、人工肛門などの排泄トラブル対応に関する調査」というアンケートの調査結果について話をする。

この調査に関しては、2月に同じような調査をやっている。今回はそれを深掘りする調査。前回に関しては、そもそも尿とりパッド等を使っていて困っている人がいるのかどうかということも不明だったので、困っている人がいるのかどうかということを調査した。

実際に困っている方もいて、いろんな自治体で設置が進んできているので、今回は当事者がどういったことに具体的に困っているのかとか、それが外出にどういう影響を与えているか、設置するとしたら、サニタリーボックスにどんな形や大きさや機能が求められるのかということについて調査をしている。

【前回調査の簡単な振り返り】

前回、2月の調査では、サニタリーボックスが男性トイレになくて困った経験がある人はいるのだろうかという視点で、インターネットでアンケートを行った。女性200名、男性333名が答えてくれた。

その中で、排便トラブルや排尿トラブルがあって、尿とりパッド等を使っている人が、女性は16%、男性は12%ということで、尿とりパッドだとか、おむつ等を使っている人が女性も男性も含めてある一定数いるということがわかった。

年齢が上がっていくほど、尿とりパッド等を使っている人が多いという傾向が見えてきた。

70代以上では、アンケートに答えてくれた方54名の中で、24.1%の人がおむつ等を使っているという回答だった。

皆さん一番使っているのが多かったのが尿とりパッドで、男女ともに多かった。

男性で尿とりパッドを使っていると回答したのは52. 5%、おむつは42. 5%ということでそんなに大きな差はなかったが、女性は、尿とりパッドを使っている人に比べておむつを使っている人が非常に少なかった。

女性はおむつに抵抗を持っているのかもしれないし、生理用品の延長で慣れていたり、生理用品の売り場に尿とりパッドも売っているので、そういったことも影響しているのかなと考えている。

実際に男性からは、尿とりパッドがどこに売られているかわからないという声もあった。

次に、サニタリーボックスがなくて困った経験ありますかということを男性に聞いたら、あるという方が68.4%いて、女子トイレには当たり前にあるサニタリーボックスを男子トイレにも設置していく必要があるんじゃないかということを前回お話しした。

【今回の調査について】

今回、もう少し詳しいアンケート調査を行った。皆さんが具体的にどんなトラブルを持っているかとか、排泄トラブルがあることで外出にどのような影響があるかとか、普段どういうトイレ利用していて、それは何でなのかとか、そういった用具を捨てるサニタリーボックスに望む機能とかを訊いている。

今回のアンケートでは排泄トラブルを抱える当事者ご本人とその介助者を対象にアンケートを行っている。

今日は6月18日から7月8日までの排泄トラブルを抱える当事者とその介助者、76名の回答を紹介する。

回答者76名のうち、排泄トラブルを抱えている当事者が64人で、介助者が12人。

性別は、男性が50%、女性が40.8%、あとは性別不明。

年代は、排泄トラブルがある当事者からの回答が多いので、40代以上が多くなっている。

今回、10代20代の方もあわせて4名回答しているが、そのうち3名がオストメイトの方。

アンケートに答えてくれた方の排泄トラブルの種類について、排尿のトラブル、排便のトラブル、人工肛門・膀胱なのかも聞いている。これは複数回答なので、排尿トラブルと排便トラブル、どちらも抱えている人もいる。

排便トラブルより排尿トラブルの方が多いかなという傾向。

排便トラブルに関しては、女性より男性の方が多かった。理由は不明。

排便トラブルについてユニ・チャーム株式会社が2017年に調査している。2万人に対して行った調査で、成人では3割近くが便漏れを経験しているということだった。いつの間にか下痢便がちょっとついていたとか、中にはたくさん漏れて洋服まで汚れてしまったという経験を持つ方もいるようだ。

こういった排泄トラブルを抱える方が、外出自体を控えることがあるのかを訊くと、男女問わず、5割強の方が、よくある、ときどきある、という回答だった。それは、トイレだけで解決できることではなくて、用具の改善も必要。

外出時の悩みを訊くと、常にトイレを探すという方が58.7%で一番多い。

3割近くの人は、せっかく楽しいところに行っても排泄トラブルがあって楽しめないと回答。そもそも外出する意欲がわかないという人も14.7%いた。

排泄トラブルに対して、おむつや尿とりパッドなどの吸収用具や、オストメイトの用品を使っているかを聞いた。これは女性と男性で結構違いが見られた。男性は常に使用しているというのが28.9%だが、女性は常に使用しているというのは74. 2%と多かった。これは、女性の方が、生理からの延長だったり、洋服や下着を汚したくないというような気持ちも影響しているのかなと思っている。

男性は、使用していないという方が44.7%で、女性よりだいぶ多い。なぜ使用していないのかを聞いたが、まだ回答者が21名と少ないので、あくまでも今回の回答者での傾向として報告する。

吸収用具を使わない理由として男性のみに見られた回答は、用具を使用する事への抵抗、外出先で用具を捨てる場所がない、そもそも尿とりパッド等の用具の存在を知らないというのがあった。女子トイレにはサニタリーボックスが当たり前にあるけれども男子トイレにはないということが使わない一因となっているのかもしれない。

排泄や排便のトラブルがある方がどんな用具を使っているのかを訊いた。

女性は尿とりパッドを使う人が多く、おむつを使うのは少ない傾向がある。

女性では、生理用ナプキンを生理のために使うのではなくて、尿や便が漏れる対策に使っているという回答が多かった。

次に、吸収用具を使っているときの困りごとについても訊いている。

女性で圧倒的に多いのは、臭いが気になるということ。

男性では、用具を捨てる場所がないというのが困りごとのトップだった。

用具を捨てる場所がないということについては、女性で困っているという人はほとんどいなかった。

男子トイレにサニタリーボックスがないことで、男性が困っているということが明らかになった。

次に、普段どのトイレを利用しているかを訊いたら、男性の5割以上が、車いす対応トイレ(多機能トイレ)を使っていると回答した。

女性は24. 1%しか車いす対応トイレ(多機能トイレ)を使っている人がいなかったが、男性は20ポイント以上多かった。

なぜ車いす対応トイレ(多機能トイレ)を使っているのかを訊くと、広いスペースが必要だからという回答もあるが、用具を捨てるボックスがあるからという回答が女性に比べて男性のほうが25ポイント以上多い。

最近、車いす対応トイレ(多機能トイレ)への利用が集中して混雑しているという話もあるが、そういったことも、男子トイレにサニタリーボックスを設置することで、少しは解消できるのではないかなとも考えられる。

次に、トイレ個室内に用具を捨てるBOXがない場合にどのように処理をしているかを訊いた。圧倒的に自宅に持ち帰るという人が多い一方、中には便器に流したり個室内に置きっぱなしにするという人もいる。

便器に流されると故障に繋がるので、男性トイレにもサニタリーボックスを置くと、利用者だけではなく、管理面でもいいことがあるのではないかと思う。

実際に設置したら使いたいかを訊くと、男女ともに9割以上の方が利用したいと言っている。

それを設置する場所としては、トイレ個室内一つ一つに設置してほしいという声が圧倒的に多いので、女子トイレのサニタリーボックスと同様に、男子トイレにも個室ごとに置くことが求められてくると思う。

サニタリーボックスに求める機能として、大きさ、消臭機能、BOXにふれなくても捨てられること、捨てるときに中が見えないこと、清潔さ、使いやすさを挙げて訊くと、一番多かったのは大きさだった。特に女性で多かった。

男子トイレにもサニタリーボックスを設置していく場合に、ある程度大きさも考える必要がある。大きさには、掃除の頻度も関係してくる。

どういった施設にそういうサニタリーボックスが設置されているといいかを訊くと、デパート、ショッピングセンターというような誰もが利用する施設や、鉄道や駅、空港、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアに設置を望む声が多かった。

職場や学校に望む声が、今回はやや少なかったが、これは今回の調査で答えてくれた方の傾向で、職場や学校が後回しでいいということではないということは注意していただきたい。

最後にまとめです。排泄トラブルがあることで外出そのものを控えた経験があると、男女ともに回答者の半数以上が答えた。

中には排泄トラブルがあることで、外出を楽しめないとか、外出する意欲がわかない人もいた。

女性は生理用品を尿や便の吸収用具として使用している人が多い傾向が見られた。

一方男性は、吸収用具の存在を知らないとか、使用することに抵抗がある人もいた。

外出先で用具を捨てる場所がないといった理由から、用具を使用してない人もいた。

用具の処理について女性は捨てる場所には困っていないのに、男性は困っているという回答があった。

捨てるBOXの機能については大きさを求める声が多かった。

(山本)私の方では、トラブルを抱えている方の属性をもう少し細分化して、かつ、いろいろなニーズに対して、定性的な分析を対応分析という方式を使ってやっている。

排泄トラブルを理由に外出を控えているかということに対して、回答者の属性分けをしている。例えば女性でも薄型の紙パンツ、厚手の紙パンツ、尿とりパッドなど、色々なものを使っている。そういった性別と実際に使っている吸収用具を組み合わせて分析した。

排泄トラブルで外出を控えるかどうかについては、全くないというのと、ほぼない、時々ある、よくあるという回答がある。

外出を控えることは「ほぼない」という意見の方は、女性では主に生理用品とかナプキンを使っている方とか、サニタリーボックスに捨てることが可能な尿とりパッドを使っている方とかが考えられる。男性で紙パンツ等という回答の方は、主に多機能トイレを使っているが、そういった方は外出することに対して、トラブルがあまりないとか、全くないという回答をしている。

それに対して、外出を控えることが「時々ある」とか、「よくある」と回答している人たちは、厚手のパンツ等を使っている方がいて、どうも今のサニタリーボックスに捨てられない女性であるとか、男性トイレにそういったサニタリーボックスがないことによって、「時々ある」という回答をしているというのが見えてきた。

次に、外出時の悩みということで分析した。多いのは、遠出ができないとか、トイレを探すという意見。

常に楽しめないというのと、トイレを探すというのが多い。楽しめない、遠出ができないという人は、女性だとオストメイトのパウチとか、男性だとカテーテルとか、少し大きめのものを使っている方が、交換に使えるトイレを探さなければならないということで、悩みが強くなっている。

トイレを常に探すという回答では、厚手の紙パンツを使ったり、男性でパンツを使っていたりして外出先で処理する場所を常に探すという傾向が見受けられる。

特に悩みはないという回答もあり、吸収用具を使っていない男性は、特に悩みがないということが見えてくる。

外出できる場所が限られるという人は、男性女性に関わらず何かしらの悩みを持っているので、対策を考えなければいけないというのが見受けられる。

吸収用具の使用で困っているということを訊くと、男性からの主な意見として、吸収用具を捨てるBOXが小さいとか、捨てる場所がないというのが出ている。

女性では臭いが気になるという意見が強く出ている。男性に比べると女性はそういうのを気にされている様子がわかる。

洋服が汚れる、用具についた便の処理が困る、荷物が増える等が、男性女性に関わらず出てきている。

特に困っていないという意見は女性にもあるが、男性で薄型のパンツを使っている方は多機能トイレを使っているということで、特に困っていないという意見が出ている。

外出先で最も利用するトイレを訊くと、大きく分けると、女性の7割は女性トイレを普通に使っていて、男性の6割近くは多機能トイレを使っている。

男性の場合は汚れた吸収用具を捨てる場所がないので、多機能トイレを求めているが、女性の場合は捨てる場所があるので普通のトイレで大丈夫だと言っている。ただ、残りの女性男性に関しては、やはり広さが欲しいといった別のニーズもあって、多機能トイレ等を求めているというのが見受けられる。

吸収用具の処理をどうしているかを訊いた。多くは外出先で処理しているが、家に持ち帰る方もいたり、外出先では交換しなくていいように旅行計画を立てる方もいる。

女性に関してはサニタリーボックスがあるので外出先で処理するというところに多くの回答があるが、男性は交換しなくていいように計画しているとか、仕方ないから持ち帰っているという声が出てきている。

持ち帰っていると答えた中には女性で厚手の紙パンツを使っている人もいるので、サニタリーボックスに入りきらないものを使っている方は、やむなく持ち帰っているというのが見受けられる。

また、厚手の紙パンツを使っている女性たちの中には、通常のサニタリーボックスには収まらないということで多機能トイレに行っている人もいる。

女性の生理用品とかナプキン、尿とりパッドが小さいものは、通常のサニタリーボックスに捨てられるので、捨てるところに困ったことがないというご意見が多い。

それに対して、男性の紙パンツとか尿とりパッドの方は、自宅に持ち帰るとか、トイレの個室の外にあるゴミ箱や、建物内のゴミ箱を探して捨てるという意見がある。男性トイレの中には捨てるBOXがないので、苦労しながら捨てる場所を探しているというのが見受けられる。

捨てる場所を整備した場合は、どの属性の方も利用したいということが確認できた。

吸収用具を捨てるためのボックスに求める機能については、大きさ以外に、臭いがしないとか、触れなくてすむというのがあったが、どの意見がより強いかを調べた。やはり大きさへのニーズを抱えている方が非常に多い。その次には、特に女性に多くなってくるが、臭いの漏れ防止に対しての意見が強い。BOXに触れなくていいという意見もあるが、優先順位としては、中が見えないこと等に比べると低い。決してこれらの意見が少ないわけではないが、順番としては、大きさと消臭、臭い漏れ防止が高い。

今回の回答者について言えば、男性だけでなく女性も、汚物を捨てるBOXについて、大きさとかも含めてニーズがある。

今回の調査では吸収用具の種類によらず、BOXの整備が求められているということが確認できた。

小さいものであれば持ち帰る方が多いかなと思っていたが、臭いが発生するようなものを持って帰るのは難しいということで、捨てたいという気持ちが強い。

ただ、吸収用具を使っている人はまだ少ないので、全部の個室に整備すべきかどうかは利用者数も含めて考える必要がある。

処理の方法に関しては、捨てるところを見せたくないとか、においが出るものを持ち歩きたくないとかいった気持ちがあるので、それぞれが利用した個室内に捨てたいという意見が多かった。

それらを考えると、全てのトイレに入れるというのが理想だが、全てが入れられないのであれば、優先順位を考える必要がある。

【質疑(抜粋)】

(Akさん)サニタリーボックスが個室にないがために外出できない、という因果関係が定量的に出てきたということはすごく意味があると思う。

だいたい何人ぐらいの人から回答が得られれば、意味がある分析ができるのか。

それともう一つ。回答者の中で特徴のある方には、追加で聞き取りができたらいいと思う。

現場の掃除をやる人や、BOXの設置に反対しそうな人たちを対象にしたアンケートもやったらいいのかなと思った。そのことで、設置するための良いアイディアが生まれるのかなということも思った。

また、実際に設置した地方自治体等に対して、使用の実態を調べることもやってはどうかと思う。

(山本)私の方の分析では、年齢とかトラブルの内容とか、もっといろいろ訊いてはいるのだが、細かく分けていくと、回答者数が「1」ばかりになって、統計にならない。いま、回答者は100名弱だが、できれば200は超えたいなと願っている。

(高橋)個別のヒアリングについては、今回の調査は排泄に関するプライベートなことを聞いているため、個人情報が特定できないように調査しているので、追加調査は難しくなっている。

(山本)次にやらなければいけないのは、清掃に従事する方とか、その施設を管理する方がどう考えているかの調査。

それから、設置することによって一般ごみが捨てられたり、盗撮とかが起こる可能性もあるので、それを心配している人の意見も聞きたい。

最終的には総合的に判断しなければいけないので、BOXを必要としている人の声も、反対の声も聞かなければならないと思っている。

(寅)BOXを設置したあとの使用実態とか、想定外の使用について、関係者が集まって、意見交換会ができればいいと思う。

BOXに付ける使用上の注意書きは、今は日本語表記だが、外国語をどうするかとか、目の不自由な方に対してはどういうふうな案内をしたらいいかとか、その辺も考えていかなければならないと思っている。

(高橋)まだこの調査自体、やらなければならないことがたくさんあるが、Akさんから、結果が出たらどうしていくのかという質問があった。

こういった様々な活動を、普及も含めてやっていくのは日本トイレ協会だけでは限界がある。Akさんからも、今後この調査結果をどう活用してどう展開していったらというのを、アドバイスとかいただけないか。

(Akさん)いろいろな人脈を使って、自治体の首長的な方とか集めて意見交換会のようなことをやることはできると思う。

多機能トイレを使う人が多いということは、障害のある人の立場からすれば困ることなのかもしれないので、障害のある人の側から、やっぱり男性の個室の方にもあった方がいいという主張をしていただくことも可能かもしれない。

(Hoさん)サニタリーボックスの英訳について、サニタリーボックスというのはピンとこないので、Litter boxにした。

(Akさん)Litter boxというのはゴミ箱。Waste binかな。いろんな英語圏でいろんな英語があるので、もちろんLitter boxもあるかもしれないし、国際的にスタンダード的な用語があるかどうか、ちょっと時間をいただければありがたい。

(高橋)海外の設置状況はどうか。

(Hoさん)スウェーデンはどっちかというと、男性女性じゃなくて、全部個室になっている。個室の中にAkさんがおっしゃったように、Binみたいなのが大きいのが置いてあって、そこに何でも入れられる。ゴミも含めて気兼ねなく何でも入れてしまうという感じがする。

(Akさん)タイは、水洗トイレで紙を流せるトイレの場合は、女性トイレには小さなボックスがあったりすることが多く、男性にはないという典型的なパターンがある。

ただ、紙を流せないトイレに関していうと、男性も女性も、蓋の開いたいわゆるWaste bin、ゴミ箱のざるみたいなものにビニール袋が入れてあって、清掃の方がまとめられるようにしてあるのがぽんと置いてあったりする。蓋があることもある。

(Ka)捨てる設備があったとしても、その後の分別についての問題についてコメントをお願いしたい。

燃えるゴミ、燃えないゴミを一つのものに捨てられていいのかなと、もしかして分別も要求されるのかなとちょっと思った。

(寅)男性トイレのサニタリーボックスについて言えば、まだ設置しただけで中身についてそんなに使用されていないというのが実態かと思う。

女性用のナプキンについて、自動で個別にパックする器具を作っている日本カルミック株式会社では、回収業務をやってリサイクルできないかと取り組んでいる。雑多なゴミが入ると、かなりの事前作業が必要になるので、これからの課題になるかと思う。

(Yaさん)サニタリーボックスのゴミは、衛生上の問題でさらにそれを分別するということにはならないとは思う。

ただ、例えばトイレの外にゴミ箱を置く場合はやっぱり分別が必要になったりする。トイレの中にはペットボトルとか、いろんなものが置かれる。だから逆に言うと個室の外に、例えば空き容器のリサイクルボックスを置くとか、全体のそういう仕組みを考える必要は出てくるような気がする。

個室にBOXを置くと、そこの中にいろんなゴミが入れられるだろうと思うが、今はあんまりそういうところまで考えられていない。その辺の容器の工夫というのは、日本はちょっと足りないなという気がする。

昔の話だが、例えばイタリアでは、薬局なんかで注射針を入れる容器とか、飲み残しの薬を回収するとか、一旦入れると絶対取り出せないようなものが置いてあったりする。日本はあんまりそういうのがない。

どれぐらいの頻度で清掃が必要になって、そのためBOXにはどれぐらいの容量が必要で、そのためにメンテナンスの回数をどうするか、そういうこともトータルで考えていくようなことがこれからの課題としてあるのかなという感じがする。

(Fuさん)男性トイレにサニタリーBOXを試しに置いた自治体の方と話す機会があった。先行自治体でも実際に男性トイレのサニタリーボックスに尿とりパッドが捨てられた実績はまだないと聞く中で、本当にニーズがあるのか、半信半疑で始めたという印象だった。

当事者の数の少なさもあるかと思うが、今回のアンケートでは環境の不備によって、困っているのに用具を使っていない男性もいる様子が見られて、鶏と卵のような関係も感じた。

隠れているニーズをどう把握するのか、施設管理者にそれをどう感じてもらうのかも、課題だと思った。

(寅)今はまだ、設置されたのは全国で70市町村程度で、男性トイレに捨てるBOXがあるということを当事者が知らない状態かなと思う。これが当たり前のようになったときに初めて安心して外出できるようになる。

当たり前のようになるまでは、いろいろ推進していかないといけないのかなと思う。

(Suさん)捨てたい物を捨てられる環境は必要だと思う。ただしそれをその場に置きっぱなしにすることへの抵抗もあったりするかもしれない。プライバシーの高い、匿名性を確保した廃棄方法を考える必要がある。

(川内)アメリカは、公衆トイレではペーパータオルを使うので、ペーパータオルを捨てる大きなゴミ箱がトイレの中にある。

ひょっとしたら、個人のゴミもそこに捨てているのかもしれない。

(Hoさん)イギリスの場合は、長いタオルを引き出して使う感じなので、捨てるBOXはない。

国によって文化も違うかもしれない。