ノーマライゼーション研究会 セミナー「良かったこと調査」

日本トイレ協会ノーマライゼーション研究会 セミナー「良かったこと調査」報告

講師:公益財団法人 共用品推進機構 専務理事 星川安之

2023年5月20日(土)

 

「良かったこと調査」について話をしたいと思います.

1.自己紹介,2.共生社会と「モノ」,3.共用品を作る,4.良かったこと調査,5.共生社会と「コト」の順番でお話をさせていただきます.

1.簡単に自己紹介します.

学生時代,私は,重度重複障害のある児童の通所施設に手伝いで通っていました.

そこの療育者から,「障害のある子どもたちが遊べる市販のおもちゃが少ない」と聞き,おもちゃメーカーのトミー工業での就職試験で,「障害児が遊べるおもちゃを作りたい」と言ったら,「今はそのような部署はないけど,将来はできるかもしれない」と言われてトミーに入社.その6ヶ月後,そのような部署ができました.

ただ,会社には障害に関する詳しい知識をもっている人はいませんでした.

このため,社外に出て話を聞く.そんな生活が始まりました.

1年間で1,000人ぐらいの子供たちに会いましたが,一つのおもちゃで、全ての障害児が遊べるおもちゃは理想だけれど、限りなく不可能だと分かったので,まずは視覚に障害のある子供たちのおもちゃを作り始め,その後,障害がある子供たち専用ではなく,一緒に使える共遊玩具,共に遊べる玩具というものを作りになり,1991年には,日本玩具協会に事務局ができ、玩具業界の活動となり、その後、他業界にその普及を推進する市民団体、E&Cジェクトに広がりまりました.

障害の有無に関わらず,一緒に使えるものを考えていきたいという人が集まって,勉強会を始めたのが,E&Cプロジェクトです.

その後,仕事が多くなったので,1999年に市民団体は解散し,財団法人共用品推進機構を発足しました.

2.次に,共生社会と「モノ」です.

共生社会って,いろんなところで出てきてはいるのですけれども,一つの統一した語釈はありません.

国立の特別支援教育総合研究所では,「これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者が,積極的に参画をしていくことができる社会」と語釈を付けています.

たとえば,社会を土俵に例えてみると,土俵には,上がるのを阻むものとして段差や階段があります.これはハード的な要因ですが,どこに土俵があるかわからないとかソフト的な要因もあります.

土俵だからしょうがないかなと思われるかもしれませんが,これが社会だったら大変なことになります.

この土俵に登れない.

どうして?

を説明する弁証法には,医学モデル,社会モデルがあります.

私がおもちゃを作り始めた頃,リハビリテーションのセンターに行くと,脳性麻痺の子供たちが一生懸命クレヨンで絵を描いていました。すごく持ちづらそうに描いているので,もっと持ちやすいものを作りたいと療育者に言うと,「余計なことをするな」っていう感じで言われたことがあります.

なんで?と聞くと,クレヨンだけ使いやすくなっても,他のものが使いづらいものだらけなので、クレヨンだけ使えても意味がないと答えが返ってきました.

この子供たちが,自分たちが訓練,まあ,教育をして,このクレヨンが使えるようにしている,それがリハビリ(後に知ることになる医学モデル)なのだと言われました.

そうなのかな?本当なのかな?

と思っていましたが,昨今は,取手が付いたクレヨン(社会モデル)等が作られています.

言葉はいろんな変遷がありまして,ノーマライゼーション,バリアフリーデザインとかデザイン・フォー・オールとかユニバーサルデザインとかアクセシブルデザインインクルーシブデザインというものがあります.

その時々において,いろんな言葉が出てきました。「完全参加と平等」、「共生社会」、「人に優しい」、「私たち抜きで私たちのことを決めないで」とかいろんな言葉が出てきています.

いろんな言葉が出ていますが,そもそも誰1人取り残さない,「誰」って誰なの?そういうことを,ちょっとお話をしたいと思います.

例えば車椅子を利用されている方が,駅の階段を利用する場合,昔は駅員さんが4人,6人で運んでいましたが,これは大変だよねとなり,車椅子用階段昇降機(エスカル)という機器が出てきました.

その後,いろんな法律が制定されて,エレベーターが整備され,それには車椅子使用者以外の人も使えるようになりました.

それから,背の「高さ」が違う人たちがいます.

例えば自動販売機.高いところに,お金を入れるところが配置されているものがありますが,これに届かない人がいる.

その後,ユニバーサル自動販売機が出てきて,車椅子使用者も届く位置に,お金を入れるところ,商品を受け取るところが配置されたものが出てきました.

それから,コンビニだとかスーパーに行くと,ペットボトルとかが段に並んでいるところを見かけると思います.

一番下の段にお茶,次の段に例えばコーヒーとか,誰も不思議に思わないかもしれませんが,上の段に手が届かない人は,誰かに頼まなければ商品を取れません.

でも,誰も頼める人がいない場合もあります.

東京オリパラの時に,オリンピックの選手村,よく見ると,段ごとではなく,縦1列,オレンジジュース,その次の列がお茶とか,そういうふうな形で上から下まで同じものが並んでいるということなので,背が低くても高くてもそれが取れるということであります.

ご存知の方もあると思いますが新国立競技場,高橋儀平さんたちがやられた車椅子使用者用の席があります.

その席の前の席,かなり空いていて,高さがとられていて,前の人が例えばサッカーでゴールしたっていうときに前の人は当然立ちたくなる.

立っても上の車椅子の人たちが見られる高さになっている.

あと,情報入手の違いもあります.

見えない人たちにとっては印刷されているものがわからないのでどうやって識別するのか.

シャンプーとリンスってどうやって識別するのか,これはお店でいちいち全部を触るということではなく,家に持って帰ってきてお風呂でどうやって違いを示すのかという,そんな課題が20年30年前に起こりました.

もっと前から起こっていたのですが,花王さんがシャンプーのサイドにギザギザをつけた.

ここは後でゆっくり話をしたいと思います.

次に,共用品を作るです.

「共用品」という言葉は,1991年,日本で生まれました.

共用品・共用サービスについて説明します.

製品を大別すると,福祉用具,一般製品になります.

その間に位置するのが共用品です.

福祉用具は,障害があってもなくても使えるもの.一般製品は,特に定義はないのですが,障害のない人たちが使うものと定義しています.

しかし,障害のある人や障害がない人が使えなかったものを一般製品とは呼べないので,それらを共用品と定義しています.

共用品を普及は,先ほどお話した市民団体は20人で始めたのですが,この20人自体は会社もバラバラだし業界もバラバラだし,立場もバラバラという20人が,なんで,何をしようかと.

誰から言われているのではなく課題を自分たちで見つけてこれは課題を解決しようと,そんな楽しい時間が,市民団体のE&Cプロジェクトにはありました。

視覚障害の人たちの調査は,まず1人の話をみんなで聞いて,1人じゃわからないっていうことで,2人ひと組になって,障害のある人,まず視覚障害の人たちのことをやったのですが,東京都に視覚障害の人を紹介してくださいと言ったら,はいと言って20人ぐらい紹介してくれて今では考えられないようなことがありましたけども,それを2人ひと組になって,訪問して,不便なこと,便利なこと,工夫していることを聞きまくった.

でもこれ20人じゃしょうがないので,しょうがないことはないのですがもうちょっと多く,アンケートしようぜというので,300人ずつの調査を始めました.

視覚障害者300人から初めて聴覚障害者など、異なる障害16種類ぐらいの調査を行いました.

共用品×不便さ調査とホームページを検索すると,それらの調査が全てダウンロードして見ることができます.

やってみると,冒頭でお話をした医学モデル.

その不便さに共通しているのは、企業が「自分たちの作ったモノやサービスに合わせて使ってくれ」という暗黙のメッセージは異論です。

視覚障害の不便さ調査では、同じような容器で中身が識別できないので不便なことありますかと聞いて,シャンプー,リンス,ほとんどシャンプー,リンスに丸をして,たとえを書くのは問題があると思いつつも,シャンプーとリンスのことが出たので,10社ぐらい大手10社ぐらいの人に報告会をするので来てくださいませんかと言ったら,役員クラスの人が10人ぐらい来てくださいまして,本当に申し訳ない顔をしてこられました.

別に申し訳ないということを言ってもらいたくて来てもらったわけじゃないのですけども,報告会では、調査報告書の説明をこちらから行ったあと、参加各社から話をしていただきました。大きさを変えていますとか,点字のシールを配っていますとか,色を変えていますとか.

最後に花王さんが,まだ公表はしてないのだけどもシャンプー側にギザギザをつけることにしましたと.

最初は点字をつけるといういろいろ考えたのだけど,点字が読めない視覚障害者もいるし,そもそも大多数の人は目をつむって髪の毛を洗う.

そうすると見える見えない関係なく,不便だよねというので花王さんにその前,何年か前ぐらいから15件ぐらい来ていた.

15件中3分の1は視覚障害者,毎回違う人から聞いていてということで,1年間かけて作ったのがこのギザギザなのですが,先ほどの調査は,同じような識別が,家の中で不便に感じていることはありますかということで,識別が困難なものが277人ぐらいから出ていた.

その中で一番不便なのがシャンプー,リンスと答えちゃったのがそういうふうに例を書いたことでした.

結果的には,シャンプーにギザギザをつけたのですけれどもその前にシャンプーにゴムをつけて毎日間違えているわけじゃありませんとか,左側にシャンプーを置いて右にリンスを置き,おきますと家族で決めていますとか,そういうことも花王さんは,知って輪ゴムぐらい自分たち花王でもできると.

輪ゴムを配るのではなくて,それがギザギザになりました.

実用新案をなぜ取得したかというと,他の会社がリンスにつけちゃったら,ちょっとまずいぞということで,無料で公開してもしよかったら使ってくださいということになりました.

今では,そこから20年から25年経って,タカラトミーという,私はまだ所属しているのですけれども,最近,リカちゃん人形のセットの中にお風呂のセットが出てきています.

よく見てみると,シャンプー,リンス,たかだか2センチぐらいの.

液体が入っているわけじゃないのですけれど.

容器を見たらシャンプー側にギザギザがついていて,やるじゃないと思いまして.

シャンプー,リンスが一つの起爆剤になって,牛乳の紙パックの開け口と逆側に半円のきざみがついたり,アルコールの上に点字でお酒とついたり,ラップ,クレラップとか,サランラップ以外の15〜16社あるのですけれど.

シャンプーの取り組みは,実用新案を取りました.

その後,経済産業省の人間がJIS規格にしたらと.

考える人が,作る人と使う人が考えて,使う人が検討し始めれば,それは成り立つJISとして成り立つ,これは面白いとなって調べてみると,環境問題や省エネの規格になり初めていたので.消費者保護を目的に,規格を作り始めました.

こんな市民団体が規格作っていいのかなということで,最初の頃は思っていたのですが,だんだん面白くなり始めていろんな人の意見を聞いているうちに,最初はプリペイドカードの規格を作ったのですけれども,シャンプーリンスの話の流れで,包装・容器を作ったので,その紹介をしました.多くのところで,これが利用されるようになった.

トイレだと.

見えない人たちがトイレの流すボタンの位置がわからないと,かなり怒りに近いことになりまして.これは東洋大学の高橋先生と一緒になって作られたのですが,流すボタンの場所がわからない.

トイレとペーパーホルダーは大体わかるのだけれどということで,トイレットペーパーホルダーの上に流すボタンをつける.

その横に,緊急呼び出しボタンを逆L字型に置こうと,そんな規格を,作りました.

 

次に,良かったこと調査です.

不便さ調査を長々とやっていまして,20年ぐらいやっていたのですが,不便さ調査はマイナスをゼロにすることはできる.

結構できるようになって,最初は何?と言われたのが,そう?それいいよねというので,マイナスからゼロになって.道で言うと,穴があいていますよ.当初は,穴ぐらいということだったのですが,穴が開いているというと,次の日には直るぐらい.

でも不便さ調査って穴が開いていますよということだけなので,もっと歩きやすいもっと速い,走りやすいという道にはならないということがだんだんわかってきて,どうするかと言ったとき,せっかく,ここ20年ぐらいやっていろんなものが直ってきたというところで,0ぐらいになってきた.

中にはプラスになっているものもあるので,プラスになったものをみんなで調べてみようということを,障害当事者団体それぞれそれまでは,各障害別にやっていたのですが,そうじゃなくて,みんなで一つのテーマをやろうよという,それを始めました.

最初は,当事者団体の人たちも,俺たちの仕事じゃない.

結構冷たく言って,悪いところを指摘するのが僕らの仕事.

と言われたのですが,1回やってみない?ということを説得して,やり始めました.

そうしたところ最初は旅行に関することをやったのですが,委員会の空気が違う.

不便さ調査のときのちょっと冷たい空気が,「良かったこと調査」の,特に,最後の委員会は,すごくほんわかして,こんなにいいことだらけだったのだという.

そんなことで,2013年からずっと続いていて,

トイレ協会の人に見ていただいたのは,公共トイレの良かったこと調査を見ていただいたことで,ここに座っているということで,その周辺を話すと,委員長にパラリンピックの責任者になってもらったので,パラリンピックが決まる前になってもらったので,パラリンピックとの関係とは直結してガイドラインを作るにも,「良かったこと調査」自体を使うことができたということであります.

いろんなところで「良かったこと調査」を始めて,宣伝なのですけど,4月に,良かったこと探しから始めるアクセシブル社会,こんな本を小学館から出しましたのでもしよかったら,本屋さんにあるかな,見ていただけたらと思います.

せっかくトイレのことなので,トイレのことを,少しお話をしますと,アンケートとしては354人に調査をしました.

視覚障害,聴覚障害,失語症,上肢障害,下肢障害,様々な人を行いまして,大きく六つぐらいかな?八つだ.

トイレの環境に関して,空間全体,これ全部良いことしか書いていませんが,ホテルとかデパート,高速道路,百貨店はとか,空港,綺麗なトイレでとても気持ちがいいよねというのがたくさん出てきました.

それから,設備機器全般に関しては,流すボタンの位置が大体決まっていて助かる.

逆に,これは決まって,聞いたけど流すボタンが上になかった,トイレットペーパーの上になかったという声も一方である.

そういうふうになっていて良かったとかいうようなことがありました.

それから空き状態が外から見てわかって聞こえない自分にとってはとてもわかりやすかったとか.

コロナ禍の前ですが,ドアの開閉ボタンが非接触式で自動ドアだったため衛生的で車椅子でも開けやすかった.

そんな声もあがっていました.

荷物台,荷物掛けも,バッグを置く場所があってよかった.

障害を考慮した位置に手すりがあった,ということも出てきました.

温水洗浄便座が増えてきたこと,点字がついていた.

点字は,30万人ぐらい視覚障害者手帳を持っている人のうち,1割ぐらいがちゃんと点字が読める人です.

小さいときから見えないと,ほぼ全て点字が読めるんですが,なんで読めない人が多いかというと,高齢になってから見えなくなると,次の日から点字が読めるという能力はついてくるわけじゃないので.

なかなか大変ということで.

でも点字が悪いということでとっても便利なものなのであるに越したことはない.

そんなことがうかがえました.

手洗い洗面のところでは,照明光のこと.

自動的に流れるのでレバーを探す必要がなかった.

一部のことしか紹介できませんがそういうことがありました.

多機能トイレに関しては,異性の子供,男の子を連れて一緒に入れるからよかったとか,夫婦で入れるっていうのがありました.

それから,高速道路のパーキングに関しては,トイレの近くに駐車できて雨に当たらず嬉しかった.

そんなことが返答にありました,着替え台もうれしかった.

パウダールーム.

着替え台もある.

最後はトイレとペーパーホルダー.

これも,位置が大体決まっているということと共に,片手で切れる,トイレットペーパーホルダーがあるのが嬉しかったっていうのがありました.

最後に,共生社会と「こと」です.

先ほど言ったのは,2019年に工業規格から産業規格になって,モノからコトも規格にできるようになった.

お互い意思が,障害がある人ない人だけじゃないですが,それを阻害しているのはどうも三つぐらいあって,その三つっていうのは,一つは思い込み,そして上下関係,無関心,と勝手に自分で思っているのですね.

自分の失敗談から言うと,最初,視覚障害の子どものおもちゃを作ることから始めたので,見えない子供たちを20軒訪問しまくったりしたのですが,

大人の人たちにも聞いてみようということになり,見えない大人の人たちとも何度も話を聞きました.

だんだん長くなって,家に来てトランプしない?ということを言われて.

見えない人の家庭に呼ばれて,初めて呼ばれました.

初めて見えない人の家に行って,私以外,男性が2人か1人,そして女性がいて,私以外が見えない人.

私だけ見えているという状態です.

会話が楽しくてしょうがなくて.

私も笑い転げながら,トランプをしていたのです.

点字がついているトランプなので,彼らは点字を見ている.

私は普通に字を読んでいるという状態でしたが,予期せぬことが起こりました.

予期せぬというか,予期していろよって話なのですが,部屋の中でやっていくと,だんだん暗くなってくる.

暗くなってくるとどうなるかっていうと,最初は優しいのです.

ここは考えどこだよねとか,戸惑っていると.

ここは考えどこだよね,慎重だよねと優しい言葉をかけてくれるわけですが,私は見えないので,近づいてきまして,本当に目の前に近づけてもわからないぐらいなったときに,優しい言葉じゃなくて早くしろ何やっていんだという話になりまして.

そうなったのですが,まだこのとき見えない人たちと付き合い始めの頃なので,なぜ,電気をつけてくださいっていう言葉が出なかった.

出なかったのは,それを言うと私だけが見えていて,3人が見えないということを強調するのではないかと.

こういうふうに悶々と考え始めてでも,一方で3人はすごく怒っているわけです.早くしろって.

でも,蚊が鳴くような声で電気をつけてもいいですかとすごく決心をして,言ったところ,罵声に近い,なんでそんなこと早く言わないのと,なんでこんなつまらないことで悩んでいたという自分をすごく恥じたということで,そこから,かなり壁がすっとなくなって,今でもこの人たちとは,電話1本で,これはどう思う?とか,向こうからこういうのがあるのだけどどう思う?みたいなことが,40年続いているということになります.

要は,思い込みというのは,かなり邪魔をしていたなということです.

それから上下関係

写真は,ちょっとやんちゃっぽい男の子が,コッペパンを食べています.

左側は,ちょっとやさしそうな男の子がパンを食べようとしている,全然違う写真なのですが,実際は統合教育が始まった頃なので,198何年ぐらいでしょうか,普通の学校で障害がある.

障害のある子は,左側の子どもは脳性麻痺の子供で,口がきけなくて,手も不自由だということで,その日は給食にちょっと固めのパンが出た.

やんちゃな右の子が脳性麻痺の子のパンを横取りして,何を始めたかというと,彼のパンをちぎり始めたのです.

何をしているのかなと.

言い返すこともできなかった.

一生懸命ちぎって,ちぎり終わったらどうするのかなと思ったら,脳性麻痺の子供に汚くなっちゃってごめんねって言って渡したですね.

彼はそのときに,言葉でありがとうってことは言えなかったのですが,その日の日記で,それまで食べたどんなパンより美味しかったっていうふうに日記に書いたということであります.

ここまでやってもらって,大体上下関係が出てしまう.

この上下関係がないというところ,どう近づけるのだというところがすごく教えてくれていることかなと思います.

最後に無関心ということで終わりたいと思います.

私の友人で,はがゆみこさんという方がいて,ヤマト運輸に勤めていて,弱視だったのです.

全盲の友達から宅配便がポストに入ってくる.

何だかわからない紙切れが,入ってきて,と彼女が聞いたのです.

ご不在連絡票でチラシのかなんだかわからないと言って,彼女は会社の連中と一緒になって,横にすると,猫の耳の形になっているわけです.

触るとこれを会社に提案して採用されました.

そんな彼女です.

彼女は弱視なので,電車の中でも,小さなルーペで本を近付けて読んでいるのです.

見ていると子供にとっては,何に使っているのかな.

興味津々になると思うのですけれど.

こんなルーぺで,15倍ぐらいです.

倍率は正確じゃないですが,そうしたときに,彼女がその日も電車に乗って座って,こんな状態で本を読んでいたら,親子連れ,小学校二,三年ぐらいの男の子とお父さんが乗ってきたそうです.

彼女の右隣に男の子が座ってその右隣がお父さん.

その男の子が彼女の方を指差して,指差しているかはわかりませんが,お父さんに向かって,あれ何?と小さな声で聞いているのが彼女の耳に聞こえてきたのです.

彼女もさっきの私の友人のように,見ちゃいけませんとか失礼ですよということも何回も両親が言っているのを聞いてきているので,そういう経験があるので,お父さんも見ちゃいけませんって言うのかなと思っていたら,その男の子が,お父さんあれ何何?と聞いた瞬間,おばちゃんに聞いてみたら?ということを言ったそうなのです.

はがさんは,彼女から声をかけて男の子の方に声をかけてここ?といって,字を読ませたり.

彼の手の甲のところに,見せると,こんな汚いのだって話が盛り上がって,見えないってこういうことなのよって,弱視ってこういうことなのだよ,みたいな話もあって,しばらくして同じ駅で降りることになったということがわかってむんずと手をつかんで,誘導の仕方を習ってないわけですから,むんずと手をつかんで電車からホーム,ホームから階段に,階段から改札口まで行って,おばちゃんまたねと,後でお父さんは,僕の知らないことを教えてくれて本当にありがとうございました,教えてくれてと.

いうことを,そのお父さんが,見ちゃいけませんと

もし言ったら,そういう会話も何もなかったし,彼の興味とか,彼の関心もそこに到達するにはすごく時間がかかったかもしれないし,到達しなかったかもしれないなと思います.

今の情報の伝達,じゃなくて,意思の伝達をしながら一緒になって社会をつくるということは,モノを作っていくことが,どんどん大切な気がします.

冒頭で,共用品というのは,三つの輪があって,一般製品から共用品になったもの.

福祉用具の方から共用になったもの,三つの輪を書いて説明しました.

くぎられているので,広辞苑にも載せてくれたと思っているのですが,何か,もういいよ,という感じで,境目をなくしたいというか.

共用品とかバリアフリーデザインとか言っていると,バリアフリーってずっとついているデザインの中に,障害がある人と高齢者を除くという意味は一言もないはずなのですね.

本来の意味に戻す,そういうことが多分必要じゃないかと思っています.

最後,私が考えたことじゃないですけれども,数式が二つ出ています.

6+4=□

□+□=10って書いてあるのです.

大体学校の宿題は上の6+4はいくつかということを求めているのですが,この共生社会とか「良かったこと調査」に関しては,10というのは,例えば共生社会であれば,何と何を足せば10になるか,それをみんなで見つけていくことじゃないかと思っています.

足し算じゃないかもしれない.

掛け算かもしれない.

全然違うかもしれないし.

10じゃないかもしれない.

上だけの問題を解くだけじゃなくて,違う解き方があるのではないかと思います.

質疑

(細野)

ユニバーサルデザインというと,よく合理的配慮というじゃないですか.

今日も星川さんのお話で気がついたのですが,情報の伝達と,意思の伝達というところで,意思の伝達.合理的配慮というところに近いのかなということで今まで合理的配慮は難しいというか,かえってわかりにくい

あれになっているのですけれど,今日の星川さんの,ご紹介が結構,関係するのではと思ったのですがいかがでしょうか.

(星川)

合理的配慮って本当に何なの?というのは言葉からすると合理的ってあまり似つかわしくないとみんな思っているのだろうと思うのです.

もっともっと,事例を出しながら,何が合理的なのかということで,最終的に合理的配慮って名前自体を変えた方が良いと思うのですけれど.

一つ一つ,会話しながら解決する,それが一つ一つの合理的配慮で,これぞ合理的配慮って多分ないと思うのです.

AさんBさんの間の合理的配慮とAさんとCさんの合理的配慮は違う.

それ自体をみんなでシェアすることは非常に必要なことだと思うので,いろんなところの答えが,合理的配慮の全体になっていくのだろうなと.

一番,今,難しいところ内の機関紙が毎回テーマを決めて,いるのですが,1月末の号のテーマが合理的配慮を考えるって,来年の4月から,企業も義務化になる合理的配慮自体をどうやって考えていこうかと思っているのでまたそれができたら,お示ししたいと思います.

 

(司会)チャットからの質問です.

三重県の伊藤さんです.

当地区でもよかったこと調査をしてみたいと思いますが商標登録をされているこの言葉は使えないのでしょうか.

という質問です.

(星川)商標登録をしたから使っちゃいけないということではなくて,共用品推進機構のホームページで日本地図を作りながら,「良かったこと調査」は,ここをクリックすると見えますよというそういうページを作っています.

もしよかったら,三重県でやられたものをそこに登録できる形とか,やられる前に相談していただければ,いろんな今までやってきたことが使えると思いますのでぜひご連絡いただけたらと思います.

 

(司会)

最後に河野さんからのコメントを読ませていただきます.

先ほどありがとうございます.

本日はトイレ協会のセミナーですのでトイレについての質問です.

星川さんの豊富な知見から共用品UDの視点からこれからの不特定多数が利用する公共トイレに望むことがあればぜひお願いします.

(星川)

 

例えば靴にはいろんなサイズがある.

24センチだけじゃなく,横のサイズとか,いろんなことができる可能性がある.

でも公共トイレとなると一人ひとりその対応ができることというのができるのかどうかというのは,大きな課題というか,すぐ答えを持っているわけではないのですが,形は一緒だけどいろんな人たちがそれぞれ使うときに便利になるというような,そういうことが河野さん,できませんかねと.

 

(河野)

逆襲,やぶへびになってしまいましたね.

お金とかいろいろかければ,いろんな形があると思うのですけども,ここ20年,30年でずいぶん日本の公共トイレは共用品にしても良くなってきたと思います.

これからどういうふうに持っていくか課題もまだまだありますけども,またお知恵を,今星川さんの答えに対して,ズバリこのアイディアっていうのはないのですけども,いろいろとまた,結構歳になってきましたけれども,これからも悩み続けていきたいと思います.

知恵を貸してくださいお願いします.

結び

(司会)

時間ですので,質疑を終わらせていただきます.

この後,お話していただければと思います.

星川さんありがとうございました.