1.趣旨
現在、前立腺がんの治療後の症状や、高齢化に伴う尿漏れや頻尿の悩み等、男性でも吸水パッドや成人用おむつを使用する人が増えています。
しかし、当事者の方が恥ずかしさを感じ、声を上げにくいため、サニタリーボックス設置の必要性が、課題として認識されてきませんでした。
そのような中、総務省行政評価局、管区行政評価局において、男性用サニタリーボックスの設置を推進するための情報収集活動が行われ、現状等が取りまとめられたところです。
この留意点等は、(一社)日本トイレ協会として様々な団体と連携していた男性用サニタリーボックスの普及推進に向けた取り組みについて、総務省行政評価局、管区行政評価局による協力の下、整理したものになります。
2.設置時の留意点
① 設置の必要性
施設や組織内で設置の検討を進めるに当たって、「なぜ設置が必要なのか」というご意見を聞くことがあります。
設置の背景事情としては、高齢化に伴う尿漏れに悩む方が増えていることや、前立腺がんが年々増加傾向にあり、治療後の症状によっては、吸水パッドといった吸水用具を使わざるを得ない方が増えていること等があります。
これらの症状は声が上げにくく、周りに伝えることが難しいため、課題が顕在化する前にサニタリーボックスを設置し、そういった人でも利用しやすい環境を整える必要があると考えています。
また、高齢社会に伴い、今後、必要とされる方が増えてくることも予想されます。
② 設置場所
男性用トイレの共用部ではなく、個室内に設置することが望ましいです。これは、共用部の場合、処理する際に恥ずかしさの心理的ハードルがありますが、個室内に設置・完結することで、処理に当たっての心理的ハードルを下げることができます。
また、個室内で完結することで、共用部トイレまでの運搬に伴う汚れ等を抑えることができ、トイレ内の衛生面を確保することも可能です。
なお、多機能トイレにだけ設置すればよい、というご意見もありますが、必要な方が利用できるだけの数が用意されているわけではないことから、男性用トイレの個室内に設置することが望ましいと考えます。
③ 個室内設置に伴う案内
男性用サニタリーボックスは、各地で設置の動きが広まっているものの、いまだ認知度が低いことから、個室内に設置した際、ごみ箱と間違われる可能性があります。
そのため、「病気の症状等により必要な方のために設置しています」、「尿漏れパッド等を利用されている方のために設置しています」という形で、「誰のために置かれているのか」、「どのような目的で置かれているのか」を明示することが重要になります。

浜松市内施設

東北財務局管理施設
また、案内は、個室入口だけでなく、男性用トイレの入口に掲示することで、サニタリーボックスを利用できる男性用トイレであることを明確にすることができます。
この個室内設置の案内及び男性用トイレ入口への掲示については、既に設置している自治体、団体の例を掲載しますので、参考にしてください。
写真は、「浜松市内施設」に掲示された案内と「東北財務局管理施設」に掲示された案内です。
3.今後の取り組み
今回、初めて留意点を公表しましたが、今後、普及が進み、認知度が高まっていくことで、「普及に当たっての課題」、「利用に当たっての課題」などが出てくると考えています。
そのため、男性用トイレへのサニタリーボックス設置に関する課題は継続して検討していきます。