第26回「うんと知りたいトイレの話」(2023年7月20日) 「男子だって汚物入れが欲しい!第3弾 排泄トラブルについて語り合おう」

  • 司会

高橋未樹子:日本トイレ協会理事/コマニー(株)研究開発本部研究開発課 課長

  • 講師

浅井 直樹:一般社団法人しげんカフェシステムズ 代表理事

葛飾 北斎(通名):腺友倶楽部

川﨑 陽二:NPO法人AWAがん対策募金、PSA北海道

寅 太郎:日本トイレ協会運営委員/元 株式会社レンタルのニッケン 取締役常務執行役員

山本 耕平:日本トイレ協会運営委員/株式会社ダイナックス都市環境研究所 代表取締役会長

 

(高橋)本日は、「男子だって汚物入れが欲しい!」の第3弾として、実際に排泄トラブルを抱えている方々に話していただく。

「男子だって汚物入れが欲しい!」は、第1回目が2022年2月で、講師から、男子トイレにもサニタリーボックスが欲しいという提言をいただいた。

第2回目は2022年7月で、日本トイレ協会が2回行った、サニタリーボックスに関する調査の結果を紹介した。

2022年2月の第1回の調査のときは、日本トイレ協会の会員を中心に、実際に排泄トラブルを抱えている人がどれくらいいるのか、そういった方々が、男子トイレにサニタリーボックスがないことで困った経験があるのかどうかについて、アンケートをとった。

2回目の調査は排泄トラブルを抱える当事者に対して、2022年6月から12月にかけて、外出時にどういった問題を抱えているかとか、サニタリーボックスに求めることを聞くために、インターネットでのアンケートを行った。

1回目の調査では、それぞれの年代でどれくらい排泄トラブルを抱えていて、尿漏れパッドやおむつなどを使っているのかを聞いた。

40代だと16.7%だが、60代を超えると22. 1%、70代以上であれば27. 1%ということで年齢が上がっていくほど、尿漏れパッドやおむつを使う人は増えていく。

排泄トラブルを抱える男性に対して、男子トイレの個室内にサニタリーボックスがなくて困ったことがある方が68. 4%もいた。

2回目の調査では、具体的な困りごとについて聞いた。

男性も女性も5割前後の方が排泄トラブルを理由に外出を控えたことがあると答えた。

外出時に吸収用具、パンツ、パッド、おむつ、生理用品、オストメイト用品の使用で困っていることを聞くと、男性の64. 1%が「用具を捨てる場所がない」と答えて、男性の困りごとのトップであるのに対して、女性は22.1%で、それほど大きな困りごとではない。

女子トイレには当たり前にサニタリーボックスがあるが、男子トイレにはない、ということが影響しているのではないだろうか。

アンケートから出てきたサニタリーボックスに求める機能は、サイズや、においが漏れないとか、サニタリーボックスに触れなくても捨てられること、などが多かった。

サニタリーボックスは、どういうふうに管理運用していくのかを考えて、その大きさや置き場所を決めなければならない、

 

(1)自己紹介

(寅)私の場合は、痛み止めの座薬の使いすぎで、肛門からパラフィンが流れ出ていたので、五、六年ずっと、女性用のナプキンを当てていた。

そのときに、今日の講師でもある山本耕平さんもカミングアウトをしてくれた。

この問題の実態調査とか、啓発活動をやっている。

 

(浅井)私は、愛知県の千島市役所で環境やゴミの担当を長く続けていて、退職をした。

少子高齢化で自治体の財政がしぼんでいく中で、自治体が家庭の資源を回収するという事業は、持続性がないのではないかと考えた。自治体ではない民間が家庭の資源をリサイクルするシステムを作ろうということで、しげんカフェというしくみを立ち上げた。

今年(2023年)の1月末に前立腺がんの手術をして、尿漏れを経験した。

自分で排泄をコントロールできないということに、人格を失うぐらいのショックを受けた。

自分が前立腺がんになってみると、周りの人に尿漏れで困っている人が多くいることがわかってきた。

外出や友だちづきあいをやめて、家に引きこもる人もいる。

自分自身も、出たくない、歩きたくないという感覚になった。

最初の頃は、すぐにパッドもオーバーフローして、下着やズボンを濡らしたこともあった。

外出で困ったのは、尿漏れパッドを捨てるところや、着替えをする場所がなかった。

外出すると、トイレに、サニタリーボックスがあるかないか、気になって仕方がない。

車いす対応トイレだと、使うのに罪悪感がある。

私の場合は、紙パンツを使うときには、捨てるサイズも大きくなって、普通のサニタリーボックスでは小さすぎる。

元々は公務員で、自治労働組合の役員をやったりしていたので、愛知県下の各市役所のトイレにサニタリーボックスがあるかどうかと、どんな表示をしているかを調べてきた。

 

(川﨑)私は所属が二つある。

徳島のAWAがん対策募金。ここは徳島県中心に、がん患者の支援や地域への意識啓発をやっている。

もう一つは、PSA北海道。ここは前立腺がんの患者、家族の患者会。ここで、尿とりパッドや尿漏れの問題について、悩み相談や情報交換をやっている。

私は前立腺がんがステージ4で、かかってから11年目になる。

ここ4〜5年は、ほぼ毎日パッドを使用している。

 

(山本)私は3年ぐらい前に脊柱管狭窄症の手術を受けた。

手術前はかなり重症で、排尿障害が出た。

ちょい漏れがすごくて、ズボンの前がぬれることが度々あって、出張のときに、初めて、ドラッグストアでパッドを買って、装着してみた。

確かに捨てるところがないというのは、非常に気になった。

ドラッグストアでは、男性の尿漏れ対策用品は、あまり目立つところには売っていない。

大体、大人用のおむつ売り場の棚に置いてあった。

業界のホームページでも、男性用の尿漏れパッドなどの記述がすごく少ない。

衛生材料工業会連合会に問い合わせをしても、反応は鈍かった。

逆に言うと、ちゃんと捨てるところがあったらもっとパッドを使う人が増えるのではないかと思う。

 

(高橋)男性用の尿漏れパッドがあるということもまだまだ知られていないと思う。

ドラッグストアでは、女性用の尿漏れパッドは生理用品のそばに並んでいるが、男性用は介護用品のおむつなどの売り場に少ししか置いてない。

私達が行ったアンケートでも、排泄トラブルを抱えている人の中で尿漏れパッドなどを使っている人が、女性より男性の方が少なかった。

男性が購入に恥ずかしさを感じるということがあると思うが、そもそも尿漏れパッドという製品が知られていないというのもあるかなと思う。

 

(葛飾)私は、2016年に前立腺がんの手術をやってから、尿が少しずつ、いつの間にか出てくるようになった。気が付かないときもあるから、尿漏れパッドを使っている。

はじめは頻繁にトイレに行くようにしていたが、だんだん量が増えてきて、1日10 CCのパッド1枚じゃ足りなくなってきている。

外出先では交換用のパッドをカバンの中に入れておいて、トイレで交換している。

ここならサニタリーボックスがよくあるという場所は特に思いつかない。

サニタリーボックスがなければゴミ箱に捨てるしかない。

汚れたものを持ち歩いていると臭いが気になる。

身体を動かしたときに尿漏れパッドが少しずれることがある。それに気づいていないときに、いつの間にか、漏れがズボンに広がった時は困る。

ズボンは、漏れがなるべく目立たない色にしている。

ドラッグストアで、男性用の尿漏れパッドは、おむつとか、福祉用具の売り場にあって買いにくい。

尿漏れの話は、女性は非常におおっぴらに語っているのに、男性は体裁を気にする。

だから私も今日は通名を使っている。尿漏れだけではなくて、例えば、がんのことを語る会でも、女性の参加者は多いのに男性は少ない。

トイレは、尿漏れパッドの位置を直さなければならない時は個室に入るし、簡単に済むときは小便器を使う。

これはそれぞれの人によって違うと思う。車いす用のトイレは、車いすを使っていないのに使っていると、周りから白い目で見られるという話を聞いたことがあるので、使っていない。公共トイレにサニタリーボックスがあってほしい。

サニタリーボックスは、捨てるときに手を触れなくていいもので、前の人が捨てたものが見えないものがいい。

最後に、男性はもっと自分のことをオープンに語るようになるといいと思う。

 

(2)意見交換

(川﨑)サニタリーボックスの設置、これが一番。

捨てる場所がない場合は、密閉できるビニール袋などを準備しておいて、家に持ち帰ったりしている。

それから、ドラッグストアでの男性用パッドの売り場が目立ちにくい場所にあり、品ぞろえも少ない。

私の場合だと、少量の20ccとか40ccが欲しいのに品切れで、店員の方に聞いてもいつ入荷するかわからないということがある。

いろいろな製品が出てきて、価格競争が生まれてほしい。

それから、ずれにくいように品質向上を求めたい。

 

(浅井)尿漏れパッドを使っている先輩から、捨てられる所があると思うなと言われた。使用済みのものを入れるためのカバンとビニール袋はちゃんと持ち歩け、一時間に1回ずつは必ずトイレに行けとも言われた。

私は、使用済みのパッドはビニール袋に入れて捨てている。

紙おむつや尿漏れパッドの防水性、保水性は優れているので、ビニール袋に入れなくても漏れ出すことはないと思っている。

多機能トイレにゴミ箱がある場合があるが、中には「紙おむつは入れないでください」という張り紙をしている場合もある。車いす使用者にも紙おむつを使用している方が多いので、これでは捨てる場所がない。

男性は、前立腺がんや膀胱がんといった疾患にかかっていない方でも、40代、50代になれば尿漏れの意識は持つべきだと思う。

汚物という感覚で遠ざけるのではなく、身近なこととして社会全体の意識を変えていけば、男性自身の尿漏れに関する理解が広まり、商品の種類とかドラッグストアの陳列とか、全てにおいて解決していくのではないだろうかと思っている。

私が住んでいるところは田舎なので、近所のコンビニには全て多機能トイレに近いトイレがあり、サニタリーボックスが設置されている。

逆に、医療機関ではサニタリーボックスが設置されていないところがある。

 

(高橋)どんな施設のトイレにまず、サニタリーボックスを設置してほしいか?

 

(川﨑)一番は医療機関。患者が通う施設だから、尿漏れの方というのは必ずいると思う。

次には、やはり自治体の庁舎関係には欲しい。

 

(寅)ショッピングセンターの多機能トイレには全部設置されているが、男性用トイレの個室にはまだ試験的にしかついていない。

その企業の考え方による。

大手の電機販売店が、全国の全店舗の男性用トイレにサニタリーボックスを設置するとホームページなどで公表している。

大手のショッピングモールでも取り組んでいるが、直営の店舗とテナントの店舗で、設置状況に違いがある。

他にも、徐々に広がっている。

 

(高橋)サニタリーボックスがないときには、どうしていたのか。

 

(寅)私は移動が多く、鉄道と飛行機とオフィスにしか行かなかったので、捨てる場所がなかった。多機能トイレが空いていれば、入って捨てていた。

未使用のパッドと使用済パッドの両方を入れるために、カバンは少し大きいものを使っていた。

最初のうちは、女性用のナプキンをつけっぱなしにしていたら、汗をかいてズボンからボロボロになって落ちてきて、定期的に着け替えなければならないと学んだ。

とにかく、捨てる場所がなかったのが、1番困った。

私は、移動が多かったので、まず駅に付けてほしい。駅はテロ対策などのリスク管理と、利用者のニーズの兼ね合いだと思うが、何かいい方法が見つかればと思う。

サニタリーボックスを設置できない理由はいくらでも出てくる。例えば、タバコが捨てられる懸念とか。一般の民間ビルでは、ビル管理会社がなかなかつけたがらない。

 

(高橋)私は、まず自分の会社の男性トイレにサニタリーボックスを設置していこうと働きかけている。ボックスを一つ置くだけなのだが、けっこうハードルが高い。

男性の中にはサニタリーボックスという言葉を知らない人もいて、ゴミ箱と間違えて何でも捨てる人がいるのではないかといった懸念を持つ人もいる。

自社ビルなのか、テナントとして使っているビルなのかとか、ワンフロアが一社だけなのか他の企業が入っているかでも調整が必要になってくる。

 

(寅)最近はオフィスのトイレがかなり綺麗になっていて、快適なので、そこでお弁当を食べている男性が増えた。その食後のゴミが捨てられないように、ボックスを置かないというところもあった。

 

(山本)私はそんなに重症ではないので、本当にちょい漏れ防止という程度の製品が欲しかった。かなり吸水量が多いものは、ドラッグストアなどで売っているが、軽度尿漏れ用のものはあまり売っていなかった。それで下着で対応していたが、そんなに頻繁に取り替えたりする必要はなかったので、出張先などではホテルの部屋で捨てていた。病院には本当に設置されていない。少なくとも、泌尿器科の病棟にはあると思っていたが、トイレ入り口に大きなゴミ箱を置いてあるだけ。個室には全く置いてなかった。

ゴミの散乱防止のためには、ゴミ箱を置かないというやり方が広まった。

ゴミ箱を置かないと管理が楽なので、どんどんなくなっていった。

駅がテロ対策でゴミ箱を撤去した。大きなイベントなどで緊張する期間が終われば元に戻せばいいのに、掃除する手間が減って楽なので、撤去したままにしている。

それがトイレにゴミ箱を置かないという方向に影響しているのではないかと思う。

ゴミ箱に対するネガティブな意識があるから、良い製品が作られない。

男性用のサニタリーボックスについては、あまり工夫がされてこなかったので、これから開発する余地はありそうな感じがしている。

 

(高橋)皆さんが尿漏れパッドを使っているときには、どのトイレを使っているのか。

 

(寅)私は、個室に入っていた。多機能トイレが空いていれば、そこに捨てられるボックスがあるので、多機能トイレを使っていた。

 

(山本)私はパッドをそんなに頻繁には替えなかったので、普通の個室。

ちょっと濡れただけのときは、小便器で、新しいものは入れないで、汚れたパッドを抜き取るだけのこともあった。

腰が痛いときは、仕方ないから多機能トイレに入っていたときもあったが、基本的にはほとんど普通の個室だった。

 

(川﨑)私は脊柱管狭窄症で、座って排尿する。その時に、パッド交換も行うので、多機能トイレを使っている。

 

(高橋)多機能トイレは、見た目に困っていることがわからないと白い目で見られないかと、ちょっと使いづらいというのがある。

 

(浅井)手術直後で尿漏れが激しいときは、多機能トイレを使っていた。すごく探して、やっと行った先が使用中だと、絶望的になってしまう。慣れてくると、だんだん尿漏れを自分でコントロールできるようになるので、そんなに切迫した状態は少なくなってくる。それでも、多機能トイレが一番使いやすい。

 

(浅井)排尿トラブルで、日常的な生活をするのに障害があるということは、やはり社会的に認知してもらうべきだと思う。

 

(高橋)サニタリーボックスにどんな機能を望むのか。

 

(浅井)トイレの入り口に、男性用トイレにサニタリーボックスが置いてあるという表示があるといい。

多機能トイレにはすでに置いてあるので、男性用のトイレに、尿漏れパッドを使っている方は捨ててください、と書いてあるとすごく優しいなという感じがする。

 

(高橋)まだ全てのブースというのはなかなか進んでいなくて、例えば埼玉県では男子トイレの個室の少なくとも一つ以上といった感じで言っている。

 

(浅井)市役所について調べると、複数の個室のうちの一つしかないところには、そのことが明確に書いてあるし、個室全部にサニタリーボックスが置いてあると書いてある市役所もある。

 

(高橋)女子トイレのように、当たり前に設置されていると、表示もなくなっていくかなと思うが、今はまだ当たり前じゃない。

 

(浅井)普通のゴミ箱に黒のビニール内袋を入れて、蓋もない表示もないという市役所もあった。非常に事情をよく理解していると思えて、どこもこうなってほしいと思った。

今、尿漏れパッドや紙おむつの機能が非常に高く、防臭面でも漏れ対策でも優秀なので、ゴミ収集の際の問題もない。私はゴミ処理が専門なので、他の可燃ゴミと区別をする必要はないと思っている。

 

(川﨑)やはり表示は大事。

ベビーチェアがある個室にはその表示があるように、サニタリーボックスが置いてあるという表示が必要。

サニタリーボックスは、大きすぎず、小さすぎず、蓋付きで、足踏み式で開くものがいい。手で開くのには衛生面で抵抗がある。

 

(山本)使用済みの大人の紙おむつはかなり大きいので、捨てるものの種類別とか、分別がしやすいデザインのゴミ箱を用意するとか、そういうルール作りが必要ではないか。

カテーテルとか、オストメイトが使うパウチの処理となると、別の問題があるかもしれないので、社会的なルールを考えていかなければならない。

 

(高橋)この問題は、困っている当事者だけではなくて、維持管理する側の視点もすごく大事なので、今後も扱っていきたい。

 

(寅)今日は男性の問題について扱っているが、女性のがん患者の会の人たちからは、女性用の個室にあるサニタリーボックスでは小さすぎて入らないという声が出てくる。

尿だけの場合は、基本的にそんなに菌もないし匂いもないが、大便が混じってくると臭いもひどくなってくるので、個室内に置くべきなのか、それともトイレ全体に1つ置くべきなのか、それも含めて考えていきたい。

アメリカでは、トイレで手を洗った後に紙で拭くことが多く、その紙を捨てるための大きなゴミ箱があるので、パッドもそこに捨てるから問題ないという人が多かった。

日本人は人目につくことをどうしても恥じてしまう。生理現象で必要なものだから恥じることはないという考え方を醸成していかなければいけないと思う。

保育園、幼稚園では、使った紙オムツを家庭に持ち帰ってくださいという所があり問題になっていた。2023年1月に厚生労働省から、保育園、幼稚園側で処理することを推奨する通達が出た。

大人の外出先でも、持ち帰らなくていい仕組みを作りたい。

 

(3)質疑

(HIさん)男性はサニタリーボックスの存在を知らない人が多く、男性の周知教育が必要だと思う。

 

(HOさん)自己導尿で使ったカテーテルや人工肛門のパウチの処理も、サニタリーボックスを使うのか。

 

(川﨑)パウチ交換のために、多機能トイレにオストメイト対応の汚物流しが設置されている。これでパウチ内の汚物を洗浄して、持ち帰ったりゴミ箱に捨てたりしている。

 

 

(HOさん)スウェーデンでは男女共用のトイレが多く、単に個室が並んでいて、大きなゴミ箱が必ず設置されているので、今日の話題は彼らにはピンとこないかもしれない。

 

(高橋)国によって違うかもしれない。トイレットペーパーを流せない国では、ゴミ箱を置いてあるので、男性トイレにおいても捨てるのが困らないかもしれない。

 

(HAさん)学校教育の中で、例えば保健教育の中で基礎的知識として教えてもらえると助かる。

 

(IWさん)出生時の戸籍が女性であるトランスジェンダー男性には、生理が起きる場合があるので、そういった方々からも男性トイレにサニタリーボックスを設置する取り組みが広がることを期待する声が出ている。

 

(寅)サニタリーボックスにもいろいろある。

各個室に置く簡単なものもあるし、機械の中にパックして納めるものもある。

後者は機械が大きくなるので、個室内には収まらない。

用途別にそれらの製品を整理して、メーカーと協力して普及させていきたい。

駅とかショッピングセンターなどは、経営側が決めれば普及は早いので、そちらも取り組んでいきたい。

 

(山本)サニタリーボックスに適切な良い製品がない。

トイレ協会の加盟企業と、製品開発のプロジェクトを立ち上げられたらいいと思う。

パッドについては、生理用品のCMは毎日やっているのに、男性用のCMはない。

男は、漏れていてもみんな黙っているから、なかなか表に現れない。

オープンに話をして、男性用の製品が世の中に知られるようにならないと、この問題も進まないのかなという気がする。

男性用の製品のメーカーには、どんどんテレビで宣伝してほしい。

 

(川﨑)トイレや尿漏れに関して、ここまで深い議論に参加できて、ただただ驚いている。

持ち帰って、患者会で情報共有したい。

先ほどトランスジェンダーの声が出ていたが、患者だけではなく、問題を感じている人が多くいて、日本全体がスピーディに変わらなければいけない時期なのではないかと思う。

 

(浅井)愛知県下37市の中で、23市、62%の自治体で、男性用の個室にサニタリーボックスが設置されていた。その大半は金属製の角型か丸形の容器で、ペダル開閉方式だった。

医療機関などによくあるタイプのゴミ箱が流用されている感じだった。

プラスチック製のものを使っているのは、ほんの数市しかなかった。

愛知県全体としてはよくやっている感じがするが、中心の愛知県庁と名古屋市役所が全くなかった。まったくけしからん。

私がかかっている病院では、看護師が必ず尿漏れカウンセリングをやってくれるが、トイレにはサニタリーボックスが置いてない。

病院はもっと啓発をしないといけない。あるいは患者自身が、困っているということをちゃんと言わなければいけないと思った。

鉄道会社とかショッピングセンターに働きかけをすれば、もっともっと広がっていくと感じた。